電子契約のメリット・デメリットを行政書士がやさしく解説!個人事業主・フリーランス必見の導入ガイド
- REIKO TOYOSHIMA
- 2025年8月15日
- 読了時間: 9分
最近、ビジネスの現場ではデジタル化がどんどん進んでいます。その中でも注目されているのが「電子契約」です。電子契約とは、インターネット上で契約内容を確認・同意し、オンラインで契約を結ぶことです。
紙の契約書をやり取りする代わりに、パソコンやスマートフォンで契約手続きを行うこの仕組みは、企業はもちろん、個人事業主やフリーランスの方にも広がりを見せています。
この記事では、行政書士の立場から、電子契約の仕組みやメリット・デメリット、そして使うときの注意点について、できるだけやさしく、わかりやすくご紹介していきます!
行政書士が教える!電子契約のメリット
それでは早速ですが、電子契約のメリットについてご紹介します。
印紙税が不要になる
紙の契約書では、契約の内容によっては印紙税がかかることがあります。でも、電子契約ならその必要がありません(事業用定期借地契約など、一部の契約を除きます)。特にたくさん契約書を扱う事業者にとっては、大きな節約になります。
紙や郵送にかかるコストを減らせる
紙の契約書であれば、押印をするために当事者が時間を決めて集合したり、押印した契約書を郵送しあったりする必要があります。電子契約であれば、そのような手間と費用をかける必要はありません。印刷したり、ファイリングしたりする作業もありません。電子契約にすれば、こうしたコストを大きく減らすことができます。
契約のスピードが上がり、業務も効率的に
郵送や押印の時間が不要になるので、契約の手続きがとてもスムーズになります。遠くにいる相手とでも、すぐに契約を結ぶことができます。時間や場所にしばられずに契約できるのも大きな魅力です。電子契約は、インターネットが使えれば、いつでもどこでも対応できます。たとえば、夜間や休日でも手続きを進めることができるので、より柔軟に働けるようになります。
電子契約の主なデメリットとその理由
一方で、電子契約にもデメリットが存在します。ここでは、小規模事業者にとって特に注意すべき点も踏まえて解説していきます。
相手が電子契約に対応していないと使えない
取引相手が個人や地元の中小企業などの場合、「電子契約?わからないし、紙で送ってほしい」と言われてしまうこともあります。自分だけが便利でも、相手が対応できなければ成立しないのが電子契約の難しいところです。初めての取引で信頼関係がまだないとき、ITに不慣れな事業者との取引、書面文化が強い業界(建設・不動産など)では、電子契約は不向きと言えるでしょう。紙と電子契約を併用している事業者も多く、柔軟な運用がポイントです。
無料プランでは制限が多く、有料プランは割高に感じる
電子契約サービスには無料プランもありますが、多くの場合、月に送れる契約数が限られている、高度な機能(複数人署名・テンプレ管理・PDF保管)が使えないといった制限があります。有料プランは月数千円から利用できるものもあり、コストとしてはそれほど高くありませんが、契約数が少ない事業者にとっては「割高」に感じるのではないでしょうか。
電子契約特有のしくみを理解しなければならない
電子契約には「電子署名」や「タイムスタンプ」といった仕組みが使われています。
「電子署名」は、紙の契約書における署名や印鑑に相当し、本人に作成されたことを証明して改ざんを防ぐ役割を果たします。
「タイムスタンプ」とは、電子データが、ある時刻に存在していたこと、また、それ以降は改ざんされていないことを証明する時刻認証の技術です。
これらをよく理解していないと、契約が正しく結ばれていなかった、というトラブルにもなりかねません。また、「電子署名」は最長5年、「電子署名」と「タイムスタンプ」を併用する場合は最長10年の有効期限があります。特に社内にデジタルに不慣れな人がいる場合は、丁寧な説明やサポートが必要になるでしょう。
電子契約の仕組みと法的な考え方をやさしく解説
日本では「電子署名法」により、きちんとした電子署名を使えば、紙にハンコを押すのと同じような法的な効力があると認められています。電子契約は、一部の契約を除き、売買契約や業務委託契約、雇用契約など、さまざまな場面で使うことができるのです。
電子契約に使用される電子署名の方式には「当事者型」と「立会人型」の2つがあります。前者は契約当事者同士がそれぞれ電子証明書(インターネット上での本人確認を行うための、“デジタル身分証明書”のようなもの)を使って直接契約を結ぶ形式で、後者は第三者(電子契約サービスのプラットフォームなど)が契約のやり取りを仲介・記録する形式です。
現在では電子契約サービスが代理で取得し、自動的に管理してくれる「立会人型」が主流になっています。これにより、より簡単に、手間なく電子契約を導入できる環境が整いつつあります。
また、クラウド型電子契約とは、インターネット上のサービス(クラウド)を利用して、契約の作成・送信・署名・管理を行う仕組みです。現在では、このクラウド型が電子契約の主流となっており、多くの企業や個人がこの方式を選んでいます。ユーザーは、専用のソフトをインストールする必要がなく、Webブラウザを通じて契約手続きを完結できます。
クラウド型サービスの多くは「立会人型」に該当し、ユーザーは煩雑な証明書管理をせずに手軽に契約できるため、近年多数のクラウド型サービスが登場したことで、電子契約の普及を後押ししたと言ってよいでしょう。
よく使われている電子契約サービス:その特徴と費用感
現在、さまざまな電子契約サービスが利用できます。以下のサービスはその一部ですが、これだけ見ても、様々なニーズに対応していることが分かります。
クラウドサイン | 国内の大手企業の法務部門で導入実績が豊富であり、認知度抜群。 |
freeeサイン | freee会計とも連携可能で、個人事業主が使いやすいプランが魅力。 |
電子印鑑GMOサイン | コスト重視の中小企業に人気。ユーザー1名/月の上限5件までの無料プランあり。 |
CoffeeSign | 個人事業主・フリーランス向け。直感的でシンプルな操作が魅力。無料プランあり。 |
どのサービスにもそれぞれの強みがありますので、使いやすさやサポート体制、自社の業務に合った機能があるかどうかを比較して選ぶのがポイントです。
また、費用についても気になるところです。多くのサービスでは無料プランやお試し期間が用意されていて、まずは気軽に始めてみることができます。有料プランの相場としては、月額2,000円〜10,000円程度が一般的です。機能や契約件数に応じて価格が変わるので、導入前に確認することをおすすめします。
クラウド型電子契約サービスの一般的な利用手順
多くのクラウド型電子契約サービスでは、以下のような流れで契約を締結することができます。
Step 1:契約書を準備する
あらかじめ契約書のPDFを作成しておきます。テンプレートを活用できるサービスも多く、オンライン上で作成を始めることも可能です。
Step 2:サービスにログインし、契約書をアップロード
Step 3:契約書の情報を入力
契約書のタイトル、契約締結日、契約期間などを入力します。
Step 4:署名者(契約相手)の情報を入力
契約相手の氏名、会社名、メールアドレスなどを入力します。
Step 5:「送信」ボタンで契約書を相手に送信
送信内容を確認のうえ、「送信」ボタンを押します。
Step 6:相手がメールで署名する
相手方にはメールで署名依頼が届き、リンクをクリックするとブラウザで契約書を確認・署名できます。多くのサービスでは、相手がアカウント登録しなくても署名可能です。
Step 7:署名完了後、契約書が自動配布される
双方の署名が完了すると、署名済みPDFが自動生成され、双方にメールで送付されます。」電子契約サービスの管理画面から、契約書の保存・ダウンロード・ステータス確認も可能です。
個人事業主・フリーランスに最適!スモールスタートのすすめ
いかがでしたでしょうか?電子契約は、コスト削減や業務の効率化といったたくさんのメリットがあります。都心・地方を問わず、中小企業や個人事業主で採用契約や業務委託契約などに電子契約を取り入れているケースが増えています。
ただし、安全に使うためには、仕組みをきちんと理解し、信頼できる方法で導入することが大切。「電子契約を試してみたいけれど、少し不安…」という個人事業主・フリーランスの方は、電子契約を初めて導入する際には、小規模でシンプルな契約から始めるのがおすすめです。以下のような契約が特に向いています。
業務委託契約書:ライター、デザイナー、エンジニアなど、クライアントから業務を請け負うときに活用されます。
秘密保持契約書(NDA):打ち合わせ前に情報の取り扱いを明確にしておくための契約で、シンプルな内容のものが多く、導入しやすいです。
デジタルサービスの売買契約:サービスやデジタルコンテンツの提供に関わる契約も、簡単に電子化できます。
顧問契約や継続支援契約:毎月の契約内容が決まっている場合など、更新手続きもスムーズに行えるのがメリットです。
こういった契約は金額やリスクが比較的低く、契約内容もシンプルであるため、電子契約に慣れるにはぴったりです。また、紙での契約に比べて手間がかからず、やりとりの履歴も残るので、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
一方で、不動産売買契約書など、法的に形式や証明力が特に重視される契約や、契約書の書面交付義務を定めた特定商取引法が関わるかもしれない消費者との契約(BtoC)は、初めは避けた方が無難でしょう。
日本全国で進む電子契約と行政書士の支援
2024年1月時点で「電子契約を利用している」企業の割合は 約8割となっています※。この8割の企業がいつも電子契約を使っているとは限りませんが、多くの企業が何らかの形で電子契約を結んだことがあるということがわかりました。
ただし、導入が進んでいるのは主に大企業であり、中小企業や個人事業主ではまだ導入率が比較的低い傾向があります。コスト面やITスキル、業務体制の違いなどがその理由と考えられています。
電子契約を試してみたいけど、「どのサービスを使えばいい?」「契約書の内容はこれで大丈夫かな?」と不安になることもあると思います。そんなとき、行政書士がお力になれることをご存じでしょうか?
あまり知られていませんが、事業者様のデジタル化を支援することは、行政書士の重要な責務であり、当事務所でも、電子契約の導入をサポートしています。「自社に合うかどうか知りたい」「契約書を見てほしい」といったお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください!
※出典:JIPDEC「企業IT利活用動向調査2024」結果速報- KYODONEWS PRWIRE
2024年3月5日11:00配信


