AIの進化とともに高まる著作権リスクとは? ― 米Anthropicの訴訟事例
- REIKO TOYOSHIMA
- 9月30日
- 読了時間: 3分
近年、生成AIの技術が急速に発展し、私たちの生活やビジネスの在り方にも大きな影響を与えています。しかしその一方で、「著作権はどこまで守られているのか?」という疑問や不安も多く聞かれるようになりました。
2025年、アメリカのAI企業「Anthropic(アンソロピック)」が、著作権侵害の問題で複数の著作者団体から訴えられ、最終的に約15億ドル(日本円で2,200億円超)という巨額の和解金を支払うことになりました。この事例は、AIが著作物をどのように扱うべきかについて、大きな警鐘を鳴らすものです。
本記事では、この事例をもとに「AIと著作権の正しい向き合い方」について、行政書士の立場からわかりやすく解説していきます。日本においても他人事ではないこの問題に、早い段階から備えておくことが重要です。
AIによる著作物の利用に関する法的課題とは
米Anthropicが直面した15億ドル和解の背景
Anthropic社は、生成AIの訓練に大量の書籍を無断で使用していたとされ、その中には著作権が有効な書籍も多数含まれていました。これに対して著作者団体や出版社が訴訟を提起し、最終的に同社は訴訟を回避する形で巨額の和解に応じることとなりました。
この事例は、AI開発における著作物の利用について、より厳格な法的対応が求められる時代になったことを示しています。
日本でも起こりうる?
日本国内でも、AIによるデータ収集や学習に際して、著作権を侵害してしまうケースが懸念されています。
日本では現在、著作権者の許可なく著作物をAIの学習に利用することが「非享受利用」(人間の閲覧や消費を目的としない利用)として例外的に認められている点です。これは、研究開発や技術革新を促進する目的で設けられた規定ですが、国際的な動きや技術の進展により、今後見直しの可能性もあります。現時点では合法でも、社会的・倫理的な議論が続いており、慎重な対応が求められます。
行政書士の視点で見る著作権と契約リスクの管理
著作権の基本とAI時代における新たなリスク
著作権は、創作物を生み出した人が持つ大切な権利です。AIの学習に利用する場合であっても、適切な許可や確認がないまま著作物を使用することは、法的なリスクを生む可能性があります。
契約書や利用規約で注意すべきポイント
契約書や利用規約においては、AI関連の利用を想定した条項を盛り込むことが大切です。たとえば、「データの利用範囲」「再利用の制限」「知的財産権の取り扱い」などを明確に記載することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
著作権侵害を未然に防ぐための社内規定・コンプライアンス体制の構築
また、著作物の取り扱いに関する社内ルールを明確にし、関係者に対する継続的な教育・周知を行うことも重要です。明文化されたルールがあれば、従業員の行動指針にもなります。
まとめと結論(AI活用時代の著作権対応の要点)
AIの進化は大きな可能性を秘めていますが、著作権に関する正しい理解と対応がなければ、思わぬ法的リスクに直面する可能性もあります。Anthropic社の事例は、その現実を如実に示しています。
今後もAIを安心して活用していくためには、行政書士などの専門家の助言を活かし、法的な備えをしっかりと整えることが求められます。行政書士は著作権や契約実務に精通した法律専門職です。著作権や契約に関して不明点や不安がある場合は、全国対応可能な行政書士にお気軽にご相談ください。AIやデジタル分野にも対応可能な行政書士が、実務に即した形でサポートを提供いたします。
