生成AI画像を勝手に使うと著作権法違反?事例から学ぶ注意点
- REIKO TOYOSHIMA
- 2025年12月25日
- 読了時間: 4分
近年、生成AI(人工知能)を使って画像や文章を作ることが、急速に身近になってきました。デザイン会社に頼まなくても、チラシやSNS投稿用の画像がすぐに作れるため、中小企業の現場では「コスト削減」「スピードアップ」の観点から非常に魅力的なツールです。
一方で最近、「生成AIで作られた画像を無断で使ったことで、著作権法違反として書類送検された」というニュースが話題になりました。このニュースは、「生成AIが作ったものでも、使い方次第では法律違反になる」という現実を示しています。
生成AI画像の無断使用で初の書類送検
2015年11月、千葉県警は、著作権法違反(複製権侵害)の疑いで、ある人物を書類送検しました。報道によると、その人物が、別の人物が生成AIで作った画像を無断で複製し、電子書籍の表紙に使用していた疑いがあったのです。
生成AIによって作られた画像に著作権が認められ、著作権法違反で摘発されるのは全国初とみられています。つまり、生成AIで作られた画像を「勝手に使った」ことが著作権侵害にあたると判断されたのです。
ではなぜ、生成AIが作った画像に著作権が認められたのでしょうか?
著作権とは、とても簡単に言うと、「創作した人の努力や工夫を守るための権利」です。文章、写真、イラスト、音楽など、人の創作性が認められるものには、原則として著作権が発生します。
そして著作権には、 「勝手にコピーされない権利」 や「勝手に販売や公開をされない権利」といった多くの権利が含まれています。
画像を作成した男性は、なんと2万回以上もプロンプト(指示)を入力し、生成された画像を確認しながら何度も修正を加えていたとのこと。
このように、人の意思と創意工夫が深く関与していたため、「創作的な表現」とみなされ、著作物と判断されたのです。
AI画像も著作物とみなされる可能性
文化庁が示すガイドラインによると、生成AIの出力が著作物に当たるかどうかは、プロンプトの内容や量などの要素を総合的に見て判断されます。
① 指示の出し方(プロンプト)
AIにどんな指示を出したかがポイントです。具体的で細かい指示は、人の創作が反映されているとして、著作権が認められやすくなります。
反対に、「かっこいい画像」「なんとなく明るい雰囲気」などのふんわりした指示や、ただのアイデアだけでは、著作物とは見なされません。
② 試行回数(画像を作り直した回数)
生成AIを使って、画像を調整しながら何度も作り直していた場合は、「人が作品づくりに関与していた」とされ、著作物として認められる可能性があります。
一方で、完全に自動生成されたものや、創作性が認められない場合は、著作権が否定される可能性もあります。
この事件では、かなりの知的労力が投入されたと認められました。
現時点では、国内でAI生成物に関する明確な判例はありません。海外でも見解が分かれています。しかし今回の摘発は、今後の実務や訴訟判断に影響を与える可能性が高く、非常に重要な「初の前例」となりました。
広報業務でも生成AI活用が増える中で、この動きには注目すべきです。
広報で生成AI画像を活用する際の注意点
著作権は「誰が、どこまで関与して作ったのか」が非常に重要な判断材料になります。生成AIを使った広報素材であっても、「自社で生成したから安心」というわけではありません。
「生成AIが作ったから自由に使える」、「生成AIだから著作権なし」と一律に考えるのはとても危険。広報で生成AI画像を使用する際は、以下のような点に注意するといいでしょう。
ネット上の生成AI画像を安易に使わない
出所が不明なまま画像をダウンロードしてチラシやSNS投稿に使うと、今回のような著作権トラブルに巻き込まれる恐れがあります。特に「商用利用」では法的責任が問われやすくなります。
他人の画像を生成AIに学習させるのは要注意
「参考画像をアップロードして似た画像を生成」する機能を使うと、元画像の著作権を侵害するリスクがあります。
これから、中小企業の現場では、生成AIを使った広報活動が広がっていくと考えられます。確かに生成AIは便利なツールですが、使い方を間違えるとリスクも高まります。
トラブルを未然に防ぐためにも、これからは、生成AIを業務に使用するうえでの最低限のルールを社内で決めておくことが望ましいでしょう。
安心・安全な広報活動のために、法的リスクを見過ごさない姿勢が大切です。


