やさしく解説Q&A:自社のAIはEU AI規則の対象になりますか?
- REIKO TOYOSHIMA
- 11月16日
- 読了時間: 4分
AI技術の進化により、企業がAIを活用する場面が増えています。こうした中で注目されているのが、EU(欧州連合)が2024年に施行、2026年に本格適用予定の「EU AI Act(EUAI規制法)」です。この規則は、EU内でAIを提供・利用する企業に新たな義務を課すもので、日本企業にも影響がある可能性があります。
「自社のAIが対象になるのかよく分からない…」という声も多く聞かれます。この記事では、AI規則の対象かどうかを見極める方法や、実務上の注意点について、できるだけやさしく解説します。
自社のAIがEU規則の対象になるか?結論は「EUとの関わり」で決まる
結論から言うと、自社のAIがEU AI Actの対象になるかどうかは、主に次の3点をチェックすることで判断できます。
1. EU域内にAIを提供・販売・利用しているか
2. 提供するAIのリスクレベル(高リスクなど)
3. AIの使い方や影響範囲
たとえ日本国内だけで事業を行っていても、EUにサービスを提供していたり、EUの顧客が使う可能性があれば、規則の対象になる可能性があります。
AI規則が適用される基準とは?知っておきたい判断ポイント
EU AI Actでは、EU域外の企業であっても、以下のいずれかに当てはまる場合には規則が適用されます:
- EU域内でAIシステムを「販売」または「提供」している
- EU域内のユーザーが使うことを前提としたAIを開発している
さらに、AIはそのリスクに応じて「禁止」「高リスク」「限定リスク」「最小リスク」の4つに分類されます。たとえば以下のようなケースは「高リスク」に該当する可能性があります:
- 採用選考や教育評価など、人に対する自動判断
- 顔認証など個人を特定する技術
- 金融分野での信用スコアの自動計算 など
こうしたAIを使う場合は、透明性・説明責任・記録の保持など、厳しい要件が求められます。
「うちは関係ない」と思っていませんか?よくある誤解に注意
「EUにオフィスがないから関係ない」「自社はAIを開発していないから対象外」――こうした認識は要注意です。
たとえば、日本の企業がEUの顧客にSaaS型のAIサービスを提供している場合、AI規則の対象になることがあります。また、単なる統計処理やルールベースのシステムであっても、EU AI Actでは広く「AI」として扱われます。
つまり、AIの開発企業に限らず、利用する側の企業でも規則の対象になる可能性があるということです。
実務で気をつけたいことは?チェックリストで確認を
実際に何をすればいいのか、順を追って見ていきましょう。
1. 自社のAIやサービスの利用対象がEUと関係しているか確認
2. 提供しているAIがどのリスク分類に該当するか評価
3. 高リスクにあたる場合は、法的・技術的な対応を整理
4. AIの開発・運用体制の中にガバナンス・記録・説明機能を組み込む
5. 必要があれば、外部の専門家と連携して対応を進める
このように、AIを「提供」する企業だけでなく、「利用」する企業も、事前の確認と準備が重要です。
専門家はどう支援してくれる?頼れるサポート内容とは
この分野に詳しい弁護士や行政書士、IT系コンサルタントなどの専門家は、次のような形で企業をサポートできます。
- 自社のAIがEU AI規則の対象になるかを診断
- 高リスクAIに該当するかどうかの評価と必要な対応の整理
- 技術文書や説明資料の作成支援
- EU域内における代理人の選任支援
- 社内向けガイドラインや教育研修の実施 など
はじめてEU AI ACTに対応する企業にとって、専門家の力を借りることでリスクを減らし、必要以上の手間やコストを避けることができます。
まとめ:早めの確認と準備が将来のリスク回避につながる
EU AI ACTは、AIに関わるすべての企業にとって重要なルールです。とくにEU市場に製品やサービスを提供している企業は、対象かどうかをしっかり確認し、必要な対応を早めに進めることが求められます。
「うちは対象かも?」と少しでも思ったら、まずは基本的なチェックから始めてみましょう。そして、判断が難しい場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

