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CEマーキングとは?AIシステムにも求められるヨーロッパの安全基準

CEマーキングは、製品がヨーロッパの法律で定められた安全や環境保護の基準を満たしていることを示すマークです。これまで主に機械や電気製品などが対象でしたが、最近ではAI(人工知能)を使ったシステムにも関係するようになっています。


特にヨーロッパ市場に製品を出す企業にとって、CEマーキングは非常に重要なポイントです。この記事では、CEマーキングの基本と、AIシステムとの関係についてわかりやすく解説します。


CEマーキングとは何か?


CEマーキングは、EU(ヨーロッパ連合)の市場で製品を販売する際に必要となる「基準に適合していることを示すマーク」です。


たとえば、電気製品やおもちゃ、医療機器など多くの製品がこの対象になります。AI技術が組み込まれた製品も例外ではありません。CEマークがあることで、その製品はEU域内で自由に販売できるようになります。企業にとっては、ヨーロッパ市場に進出するためのパスポートのような存在です。


なぜAIシステムが対象になるのか?


AIは、人の代わりに判断したり、行動したりすることができる技術です。たとえば、自動運転や顔認証など、人の命やプライバシーに関わる場面で使われることが増えています。このような技術には、高い安全性と信頼性が求められるため、CEマーキングの対象とされています。


AIが搭載された製品は、機械の安全に関する法律や、電波や電磁波の影響を定めた法律、さらには医療機器の法律など、いくつかの法律に適合する必要があります。


現在のCEマーキング適用対象とその背景


2025年時点で、AIシステムのうちCEマーキングが必要とされるのは「高リスクAIシステム」に限られています。これは、EUが導入を進めている「EU AI Act(欧州(EU)AI規制法)」に基づくもので、AIをリスクレベルに応じて分類し、特に人の健康、安全、基本的権利に大きな影響を与える可能性のあるAIが「高リスク」とされます。たとえば、労働者の監視、重要インフラの管理、医療判断支援などの用途が該当します。


これらの高リスクAIシステムについては、CEマークの取得が義務づけられており、これによってEU市場での販売が可能になります。一方で、リスクが比較的低いAIシステムには、現在のところCEマークの義務は明確には課されていません。


高リスクAIのCEマーク取得手順


高リスクAIシステムにCEマークを付けるためには、以下のような手順が必要です。


1. リスク評価:AIシステムが高リスクに該当するかどうかを判断します。これはAIの用途や影響範囲をもとに評価されます。


2. 技術文書の作成:AIの機能、安全対策、設計プロセスなどを詳細に記載した技術文書(Technical Documentation)を作成します。


3. 適合性評価:企業自身で行う「自己評価」または、第三者機関(Notified Body)による審査が必要です。高リスクAIの場合、第三者評価が求められるケースが多くなります。


4. 適合宣言書の作成:EU適合宣言(Declaration of Conformity)を作成し、CEマークを製品や関連文書に付けます。


このように、AIシステムがどのようなリスクを持つかを評価し、それに基づいて必要な技術文書を整えることが求められます。


また、AIが個人情報を扱う場合は、EUの個人情報保護法(GDPR)との整合性も見逃せず、専門家による法的なアドバイスが必要となる場合もあります。


まとめ:AIとCEマーキングの関係を理解しよう


CEマーキングは、AIを活用する製品にとっても「安全と信頼の証」としてますます重要になっています。これからは、ソフトウェアやクラウドサービスのような目に見えないAI技術にもCEマーキングが必要になる可能性があります。


AIを使った製品をEUで販売したい企業は、早い段階でCEマーク取得の準備を始めることが大切です。不安な点がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、安心して進めることができるでしょう。

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