EU AI Actの「高リスクAI」に該当する業種とは?行政書士が解説
- REIKO TOYOSHIMA
- 10月6日
- 読了時間: 3分
更新日:10月21日
2024年に施行、2026年に本格適用予定の「EU AI Act(欧州(EU)AI規制法)」は、AIのリスクに応じてルールを設ける、世界初の包括的な法律です。特に「高リスクAI」にあたるシステムは、厳しい規制とルールを守る必要があるため、企業にとってはしっかりとした準備が求められます。この記事では、「高リスクAI」にあたる業種や使い方について、できるだけわかりやすくご紹介します。
EU AI Actにおける「高リスクAI」とは?その定義と対象範囲
この法律では、AIを使うシステムをリスクの高さによって分類しています。その中でも「高リスクAI」とされるものは、人の安全や権利に強く影響する可能性があるものです。
法的分類とポイント
「高リスクAI」とされるのは、大きく次の2つに分けられます。
1. 特定の目的に使うAI(付属のリストに記載)
2. EUの他の法律ですでに安全性が求められている製品やサービスに使われるAI
たとえば、顔認証での個人特定、採用試験や社員評価、与信審査、医療診断の支援などが対象になることがあります。企業は、自社のサービスやシステムがこれに当てはまるかを、しっかり確認しておくことが重要です。
高リスクAIに該当する業種一覧と具体的な活用例
医療、金融、雇用分野など業種別のリスク評価
以下は、高リスクAIとされる可能性が高い業種と、その活用例です:
これらの業種では、AIの使い方によっては人の暮らしや仕事に大きな影響を与えることがあるため、EUでは慎重にルールを定めています。
高リスクAIに関する規制対応で注意すべき点
企業の皆さんからよくある質問は、次のようなものです:
うちのAIは「高リスク」にあたるの?
該当したら、どんな準備や書類が必要?
どんな体制を整えればいいの?
これらに対応するには、AIがどのように使われているかをしっかり整理し、必要な書類やルールを整えることが大切です。
すべてのAIが「高リスクAI」になるわけではありません。たとえば、ただのデータ整理ツールや、ルールが決まった作業を自動化するだけのAIは、通常は対象外です。
誤って「高リスクAI」として過剰な対応をしてしまうと、コストや労力が無駄になってしまいます。AIが何をしているのか、その影響の範囲などをよく確認し、正しく判断することが大切です。
まとめと結論(企業や組織が今後取るべき対応)
EU AI Actが始まることで、AIを使う企業すべてに新たなルール対応が求められます。特に「高リスクAI」に当てはまる場合は、早めに体制づくりを進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
まだ対応を始めていない企業も、今から情報を集めて、社内でのAIの使い方を整理しておくと安心です。制度が複雑で判断が難しいと感じる場合は、専門家の力を借りるのも一つの手です。EU市場で差別化を図るためにも、今から備えていきましょう。
