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たった1人の苦情で賠償命令?中小企業にも迫るGDPRのリアルな危機

EUが自らGDPR違反?驚きの判決が示す新たなリスク


GDPR(一般データ保護規則)は、EUが定めた世界最高水準の個人情報保護ルール。その「作り手」である欧州委員会が、自らこのルールに違反して賠償命令を受けるという異例の判決が下されました。


しかも、その発端は「たった1人のユーザーの苦情」。 この判決が、中小企業でも避けては通れないGDPRリスクの現実を浮き彫りにしています。


事件の背景:イベント登録情報が米国サーバーに転送?


問題となったのは、ドイツ人男性がEU主催のイベントに登録した際の個人情報です。


このデータがアマゾンAWS経由で米国のメタ(旧Facebook)のサーバーに保存されたことで、「米国政府機関に閲覧されるリスクがある」として、男性はEUを訴えました。


裁判所は、次の2点を重く見ました:


  • 男性の懸念に対してEUが十分に対応しなかった

  • 第三国(この場合は米国)へのデータ転送がGDPRの要件を満たしていなかった


結果、欧州委員会に対して400ユーロ(約6万5000円)の賠償金支払いが命じられました。


これまでGDPR違反といえば、GoogleやMetaのような大企業が数十億円規模の罰金を科されるケースが注目されてきました。


しかし、今回のEU自身への判決は、「たった1人の苦情」「少額(400ユーロ=約6万5000円)の賠償金」であっても、GDPR違反が成立するという前例をつくった点で非常に重要です。


日本の中小企業にも十分起こりうる話


GDPRはEU企業だけでなく、以下のような日本企業にも適用されます:


  • EUの顧客やパートナーがいる

  • EU居住者向けに商品やサービスを提供している

  • 自社サイトにEUからアクセス・登録できる


今回のケースでポイントとなったのは、外部サービス(AWSやメタ)の利用でした。中小企業もメール配信やクラウド、Webフォームなどで外部サービスを日常的に使っていますが、そのデータがどこに保管されているか・どこを経由しているかを把握していないケースは少なくありません。


中小企業が今すぐできる対策としては、自社でEU居住者の個人情報を取り扱う場合、海外に転送しているかどうかをチェックし、必要に応じてGDPRに対応したプライバシーポリシーを整備することです。


まとめ:GDPRは“大企業だけの話”ではない


今回の判決は、


  • 被害者が1人でも、違反が認められる可能性がある

  • 損害が小さくても、企業に責任が問われる

  • 対応の遅れや不備自体が、リスクになり得る


という流れを示しています。


つまり、中小企業であっても、GDPRに違反すれば賠償責任が発生しうるという前提で考える必要があります。特にEUとの関わりがある企業は、「うちは大企業じゃないから大丈夫」とは言えないのです。


今回の判決は、“巨額の制裁金だけが怖い”のではなく、“小さな訴えの積み重ね”が大きなリスクになるという新たな視点を、私たちに突きつけています。中小企業にとっても、GDPR対応は「コスト」ではなく「リスクマネジメント」の一環と捉えることが重要です。


当事務所では、中小企業向けのGDPR対応プライバシーポリシー作成を取り扱っています。「うちの場合は大丈夫?」と疑問に思ったら、是非お気軽にご相談ください。

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